それでも地方創生に賭けますか?おりますか?(中編)【地域再生コンサルタント 大西正泰】

それでも地方創生に賭けますか?おりますか?(中編)【地域再生コンサルタント 大西正泰】
Author

大西正泰

一般社団法人ソシオデザイン 
地域再生コンサルタント
吉備国際大学講師

大西正泰

地方創生政策を、オールドノーマルに戻さないために!

 さあ、悲劇的な現実を見てきましたが、オールドノーマルに戻さないために、何をすればいいのか。私なりに思うことを書いていきます。

【第1の提言】まちづくりは政治だということ。だから、まちづくりとは、良いリーダーを選ぶところから始まる。

 今回の新型コロナの災厄でわかったことは、平時と緊急時に強いリーダーの格差です。大阪の吉村知事はじめ、全国で若いリーダーが着任している自治体は、緊急時に強いリーダーであったことがわかりました。それに比べ、もうこれ以上いうのはやめましょう(笑) すでに人口5万人以下の自治体は、ウルトラマンでいうところのカラータイマーがビンビンになっているのですが、まったく「危機意識」ありません。危機意識って、ふつうもったら動き出すと思うんですけど、いつまでも「ひとごと」であり、いまの意思決定者層は「勝ち逃げできる」 と思っているんですよね。

 だから、まちづくりって、ボランティアだったりなんだったり多いですけど、本質は、政治です。よりいいリーダーを選ぶことが、自らの街の幸せ創造に直接関与しているのですから、選挙運動こそまちづくりだと言っても過言ありません。

 だけれども、誰もなりたがらない。誰もやらない。
 そんなふうに政治をしてしまった罪は大きいなあと感じています。

【第2の提言】公務員が本来やるべき仕事のために、公務員は仕事のダイエットをするべし。

 小さい自治体ほど、地域最大の事業主体は、「まち」です。人口数千人でも何十億円、人口5万人以上になれば数百億円が事業規模です。

 しかし、人口が減れば減るほど、何が起きているかというと、地域の力が落ちた分、なにもかも「まちに頼る・公務員にさせる」という雰囲気。そして、公務員の世界では、書類ルールが基本。だから、町に出ることなく、ずっと書類を見つめないといけない仕事になっています。

 これってまさに不幸そのものではないでしょうか。まちのことをやるべき、わかっているべき人が、ずっと書類に紐付けされる。外にも出ない、そして、他のまちづくりのことも忙しすぎて、勉強できない。

 これでは、まちは停滞します、もう、ばっちり停滞します。

 で、これが続くと、「新しいことをやらない」「あたらしいことを、ああだこうだできない理由をつけて仕事を減らそうとする」ようになるんですね。これでダメな自治体いっちょあがりなんです(笑)。

 だから、公務員の書類仕事を減す、Webでできるものは全て行う。ネットリテラシーややり方がわからない人には、とにかく徹底して教える。

 コロナで一番恩恵受けたことは、オンラインでけっこうなことができることがわかったことです。もういまではみなさんZOOM(オンライン会議ソフト)などを使いこなしてます。必要さえあれば、みんなできるんです。いかにこれまでサボってきたことが。こうやってリテラシー格差をほっておいたからこそ、書類文化が根強くなり、いまだにFAXが大手を振ることになり、公務員がそれぞれの選択肢を用意し、それぞれ準備しやりとりするから、大幅なコストを発生させるのです。そこをコロナのせいにして、一気に進めましょうということです。

 だからこそ、DX(デジタルトランスフォーメーション)、ぜったい田舎ほどやるべきです。

 その余った力を存分に現場で使って欲しいのです。コミュニケーションに使って欲しいのです。もう書類に使うにはやめていただきたい。生産性を上げるための革命の本丸は自治体にあります。ほんとに。

【第3の提言】寛容性を育てる

 経済学、社会学はじめ、どんな分野でも、まちづくりのポイントになっているのは「寛容性」だと言われています。寛容性の重要性を説いたリチャード・フロリダ(トロント大)を弾くまでもなく、何かしら起きる場所というのは、変化を好ましく受け止める文化的土壌があります。しかめっつらして、みんなが黙っているところに新しい風が吹く訳ありませんよね。

 だから、まちづくりって、変化を好ましいものとして受け止め、ワクワクの連鎖が止まらない状態にすることです。その反面に穏やかで、ワクワクから距離を置くことのできる「プライベート空間」や「逃げ場所や余白」が多いことも同じく大事なことです。

 じゃあ、そのためになにをすればいいのか。

 とても簡単です。アイデアが「速やか」に、そして「みんなの応援」によって成し遂げられるところにすることです。思ったことが実現することぐらい楽しいことはありませんから。この反対をどこの町もやってるから、進展しないだけです。
 
 別に、飲みニケーションも仲良くなるためのワークショップも入りません。ただ、やりたいことを否定せず、やらせればいいだけです。この積み重ねが寛容性を育てていきます。

(後編に続く)