それでも地方創生に賭けますか?おりますか?(前編)【地域再生コンサルタント 大西正泰】
2020/09/27 - コラム
いつか空の飛び方を知りたいと思う者は、まず最初に立ち上がり、歩き、走り、よじのぼり、踊ることを学ばなければならない。その過程なくして、飛ぶことはできないのだ
ニーチェの言葉として知られる格言です。
(フリードリッヒ・ニーチェ 「ツァラトゥストラかく語りき」より)
耳に痛い。あー、実に痛すぎる。
地方でまちづくりを営む人間の1人として、新型コロナ下における足元を見た時、ガラガラとシャッターを閉め、目に見えぬ侵入者を徹底排除する姿は、どう見られただろうか。
いまさらながらお話をしますが、当初から、地方では「新型コロナはどこかよそごと」でした。都市圏だけでなく、全国でもたくさん感染者がでてきてからはさすがに変わりましたが、圧倒的に「災厄に強い田舎」が証明されてしまったように思います。
大きな課題は、排除の論理に動く地方の姿よりも、新型コロナ下にあって、「田舎でよかった」と思わせたことである。つまり、流動性を高くし、地域のなかに寛容性を生み出すことを積極的にやってなかった、つまり「変わらなかった」=新型コロナの影響を受けにくかったことで、実は心の奥底で「このままの田舎でいいんじゃないだろうか?」という思いを生み出したところにあると思います。
ニーチェの言葉を引くまでもないんでしょうけれども、
「あなたが出会う最悪の敵はいつもあなた自身であるだろう」
(フリードリヒ・ニーチェ)
まさに、地方創生の敵は、ひょっとしたら、「地方自身の意識」であるのがよくわかったのであります。
コロナを巡る未来予測
これからを少し予測してみますと、
第1フェーズが感染拡大、第2フェーズがいま、第3フェーズに2つの選択肢があると。つまり、新しくなるのか、元に戻るのか。
もう結論言えば、「元に戻しちゃいけない」「先に進める」の一択しかありませんが、「変わらない」ことが災厄に強いことがわかってしまうと、長期戦略としてどうしても「変わらない戦略」が採用されがちです。
地方だと、オールドノーマルに戻るの一択になっちゃうんです。。。。とほほ。
となると、もうほんとにお手上げです。
特に国土の7割を占める森林地帯にある中山間地域。これが徐々にほったらかしになる、ならざるをえないわけですから。
ちなみに、山から海への影響は半端ありません。世界的な気候変動もあるので、すべてが山に起因はしませんが、ここ最近の漁業不振を見るだけでも、たぶん、山からの栄養が海にいってないんだろうなあと思うことがあります。
人口増加している地方都市のリアル‼︎
また、興味深い論文が提出されました。とどめかもしれません(泣)
「人口増を実現している小規模自治体に関する特徴と発展戦略の分析」 安達明久先生(新潟産業大学)。人口の増えている自治体の特徴はどんなのということを明らかにしました。
引用 https://www.chiiki-kassei.com/img/files/taikai/taikai12-2/66.pdf
この結果については、実感通りで驚きもないのですが、まあ、零細中山間地域で頑張ってきた私には、夢も希望もない「リアル」です(笑)
全国には1741の自治体(2017年)があり、そのうち人口10万人未満の小規模自治体1451(全国自治体数の83%)。まさにこのゾーンが、地方創生でいうところの「地方」ですが、安達先生の論文では、①2005年から2015年の10年間で、人口増を達成したのは216 団体。②内訳を見ると、大都市近郊のベッドタウン型が125団体で、人口増を達成したなかの半数48%を占めています、というものです。
詳細は論文を読んでいただきまして、結論から申せば、大都市圏を抱える郊外のベッドタウンが増え、残るところも大企業が入ってきたエリアなど、地政的な合理性や関係人口より大企業誘致策なのかと残念に思う人もいるでしょう。
(中編へ続く)