Open the Public Power!

パブリックX

目指す社会のビジョンVision

一人ひとりが情熱を持ってイキイキと活躍できる社会の実現

私たちの存在意義raison d'etre

民間と官公の良いところを掛け合わせて、新たな雇用を創出します

私たちが考えるこれからの「公共」The future "public" that we think

行政も民間企業もプラットフォームとなり、課題を機会と捉えて官民協創造プロジェクトが働く場になるなら、新たな雇用を生み出すことができるのではないだろうか

第二創業にあたっての趣意文Prospectus

2020年4月。私たちはきっと時代の分岐点にいる。ここ数年、テクノロジーの発達により生活や働き方が変わりつつあり、行政や民間企業を問わずにデジタルトランスフォーメーション(DX)が推進され、夏にはいよいよ東京オリンピック・パラリンピックが開催されるはずだった。世の中はなにかソワソワした様相を呈してきていた。

しかし、新型コロナウィルス拡大により世の中は一変した。人々は活動の自粛とワクチン開発まで続くかもしれない不安な状況の真っ只中にいる。そして多くの人は否応なく働き方や学び方を見直している。NewNormal=恒常的なリモートワークを前提として、働く場所や時間、雇用形態は大きな意味をなくしつつある。戦後日本に根付いてきた価値観は大きな転換を迫られているように感じる。 そんな時期にパブリックXは誕生した。

パブリックXが描くありたい社会像は「一人ひとりが情熱を持ち、イキイキと活躍できる社会」である。遡ること17年前。実は2003年9月に私たちの旅は始まっている。京都リサーチパークの一室で、就職氷河期世代に光を当てるべくパシオ(PASIO)という会社が生まれた。就職氷河期世代が「情熱をもって生きることができる社会」にしていきたいという思いを社名にした。そして時が過ぎ、いま就職氷河期世代が抱える課題は、その世代だけの問題ではなくなり、出生率低下、社会保障制度に対する懸念、次代の担い手不足など様々な社会課題の原因となっている。単に就職氷河期世代の就労支援事業に取り組めば良いという段階ではなくなった。

行政のあり方も近年大きな変化の渦中にある。公共サービスを高コストで行政が丸抱えしてきた反動で、非効率となった行財政運営を市場化する「小さな政府」志向が現在では社会的な趨勢となっている。しかしこれも過渡期である。企業にとって市場として魅力がなければ民間委託や民営化できず、公共交通の赤字路線などに代表されるように行政が手を離した瞬間に切り捨てられる事案も生じている。ここにきて、「小さい政府」では社会課題の解決は実現できないことに多くの人たちが気づき始めた。

公共サービスの変容、すなわち、パブリック・トランスフォーメーション(パブリックX)が歴史から求められている。これまでの「サービス提供者としての(大きなor小さな)行政」から、「プラットフォームとしての行政」へ、そのあり方を変貌させるべく事業を行うことが要請されている。 プラットフォームとは基盤であり、OS(オペレーションシステム)のことである。この行政プラットフォーム論の考えに従うなら、市民や事業者が使うサービスとして「アプリ」が用意されなければならない。この「アプリ」を、行政と他の公共機関、又は行政と民間の協創造によって生み出し、適宜アップグレードしていくことが求められる。

フルパッケージの公共サービスではなく、個々人にとって異なる必要な公共サービスを最適に供給するために、従来、行政が一義的に担ってきた公共のパワーを社会全体に開放し、多様な主体が接続・掛け合っていかねばならないと考えた。パブリックXの由縁である。新しいテクノロジーを取り入れ、新しい発想を選択し、新しい概念を普及していくことが公共サービスの変容を促すことにつながると確信している。

行政の役割は依然としてインフラ整備は残されるが、それは道路や河川といったハードインフラのみではなく、アプリを協創造で生み出すためのデジタルインフラも含まれる。又、旧来の家族や終身雇用下におけるコミュニティが時代の流れとともに希薄化してきた一方、ソーシャルコミュニティ、何らかの関係性によって形成される現代的な仮想共同体といった支え合いの人的ネットワークインフラを構築することもプラットフォームとしての行政には大いに期待される事柄である。

同時に民間企業もプラットフォーム化が求められる。高い報酬によってのみ優秀な人材を確保できることはない。やりがいを感じられる仕事を提供し、切磋琢磨できる仲間が集まり、働きやすい職場風土などを醸成していくことが重要である。そうしたプラットフォームを作り出すことで、他の事業者や行政と結びつき、社会ニーズに応えられるアプリケーションを生み出していける。

行政であれ企業であれ、新型コロナウィルスの感染拡大を契機に、これから施策を展開しプロジェクトを運用していくためには、魅力的なプラットフォームでなければならない。私たちはそうしたプラットフォームの一翼を担いたい。

そして、私たちの原点は困難な立場にいる人たちの就労支援であった。就職氷河期世代の活躍支援にも引き続き取り組みたい。しかし、それだけではなく、パブリックXは、かつて大きい政府でやろうとしていたこと、近年、小さい政府がやろうとしていたことを止揚し成し遂げるため、新しい公共の仕組みを作り出したい。「プラットフォームとしての行政」、「プラットフォームとしての民間企業」を全国各地で前に進めるためには、働く場所や、働く時間、雇用形態によって縛られない一人ひとりの働く人たちをエンパワメントしていく必要がある。そして新しい時代を切り開く、新たなパブリックプロジェクトに、新しい時代を切り開く人材が出会える場を創出し、新しい公共の仕組みを動かしていくことによって、雇用問題に貢献していけると確信している。

2020年4月 藤井哲也

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